太陽光投資は、単純に売電収入を増やすだけでなく、節税・税金制度を理解することで、効率的な投資を実現できます。
本記事では、太陽光投資で発生する税金の種類や、節税・税金対策の方法について、サラリーマンや個人事業主・法人の属性別で解説します。
目次
太陽光投資で払う税金の種類
大きく、所得税(法人税)、固定資産税、住民税の3種類に分かれますが、サラリーマン(給与所得者)か個人事業主・法人によって扱いが異なります。
『サラリーマン』、『個人事業主・法人』のそれぞれに必要な税金の支払いや計算方法等について解説します。
【サラリーマン】太陽光投資で支払う税金
所得税
太陽光投資によって、所得が20万円を上回ると確定申告が必要になります。「売上」が20万円ではなく「所得」が20万円という点に注意してください。
所得とは、売電収入から設備費やメンテナンス費、減価償却費等の経費を差し引いた金額です。
また、太陽光投資による所得が20万円以下の場合でも、その他副業の所得と合わせて20万円を上回る場合は、確定申告が必要になります。
住民税
住民税は都道府県や地方自治体に支払う税金で、金額に関わらず雑所得すべてが課税対象になります。(太陽光投資の売電収入が20万円以下でも、住民税は発生)
雑所得が20万円以上で、税務署に確定申告をしている場合は、住民税の申告手続きは不要です。一方、確定申告をしていない場合は、申告書類を市役所のホームページからダウンロードし、自己申告する必要があります。
<住民税の税率>
2種類の合計金額になります。
「均等割」:所得金額に関係なく、一律に発生する税金
「所得割」:個人の所得金額に応じて発生する税金
均等割は市区町村に支払う金額が年間で3,000円、都道府県に支払う金額が1,000円の合計4,000円です。(*2023年までは防災対策の臨時増税として合計5,000円になります)
所得割の税率は10%なので、副業の雑所得が10万円の場合は1万円分が住民税となります。
参照:総務省『個人住民税』
固定資産税
野立ての太陽光投資においては、「土地」と「設備」の2つが固定資産税の対象になります。
<土地>
毎年1月1日時点の土地の所有者に対して、「課税標準額×(税率-軽減額)」で算出されます。
課税標準額とは、各自治体が定める固定資産評価基準の数値になります。
税率も同じく自治体ごとに設定されており、そこに軽減額が反映されますが、軽減額は住宅用地の際に適用される金額であるため、野立ての太陽光投資では発生しません。
例として、課税標準額が1,000万円、税率が1.4%の場合の固定資産税額(土地)は「1,000万円×1.4%=14万円」と計算できます。
参照:東京都主税局『固定資産税・都市計画税(土地・家屋)』
<設備>
以下の条件を満たすと「償却資産」として、固定資産税の対象になります。
- 発電量10kW以上
- 事業目的で設置した設備
- 野立てなど移動が容易でないもの
但し、設備は減価償却をするため、評価額は一定にはなりません。従って、「固定資産税評価額=取得価額×(1-減価率)」にて計算する必要があります。
減価率は国税庁にて、0.147(初年度は 1/2 の0.0735)と定められています。
参照:国税庁『減価償却資産の償却率表』
例として、取得価額を1,000万円、税率を1.4% とする場合、
初年度の固定資産税は、「1,000万円×(1-0.0735)×1.4%=12.9万円」
2年目以降の固定資産税は、前年の課税評価額を取得価格として、「936万円×(1-0.147)×1.4%=11.1万円」となります。
※上記の減価率は平成19年4月1日以後の数値を基準とする。
※定率法における保証率、改定償却率は考慮しないものとする。
※課税評価額が150万円を下回ると、その翌年以降の固定資産税は免除。
【個人事業主・法人】太陽光投資で支払う税金
続いて、個人事業主・法人が太陽光投資で支払う税金について解説します。
法人税
法人として太陽光投資を行う場合、所得税の代わりに法人税が発生します。
*個人事業主の場合は所得税(事業所得)となります。
法人税は売電収入から経費を差し引いた所得に対して、法人税率を掛け合わせることで算出されます。法人税率は会社の規模や課税所得により、以下にて定められます。
例えば、資本金1億円以下の法人で課税所得が500万円の場合は、以下で計算されます。
「課税所得500万円×法人税率15%=法人税75万円」
固定資産税
法人の場合でも個人と同様に固定資産税が発生します。税率は変わらず、
「課税標準額×税率(1.4%)-軽減額(太陽光投資の場合は0円)=固定資産税額(土地)」
「固定資産税評価額×税率(1.4%)=固定資産税(償却資産)」
こちらで計算されます。固定資産税(償却資産)が発生する要件も、個人と同じく以下の3つです。
- 出力が10kW以上
- 事業目的で設置した設備
- 野立てなど移動が容易でないもの
太陽光投資でできる!3つの節税・税金対策
減価償却
減価償却とは、時間の経過に伴い、価値が落ちる固定資産(減価償却資産)を経費として分割計上することです。
何年かけて減価償却をするかは「法定耐用年数」によって定められており、新築と中古でも変わります。
新築の太陽光発電所:17年
中古の太陽光発電所:17年ー(経過年数)+(経過年数)×20%
参照:国税庁『風力・太陽光発電システムの耐用年数について』
償却方法は以下の2パターンがあります。
①定額法:毎年同じ償却金額を計上する
②定率法:一定割合で償却金額が減っていく
設備費用が1,000万とした場合、以下で計算できます。
①定額法
1,000万円 ÷ 17年 = 約59万円 / 年
②定率法
1,000万円 × 0.147(償却率)=147万円 / 年
その翌年に、
(1,000万円 – 147万円)× 0.147(償却率) = 125万円 / 年 ・・・
翌年以降も同じ計算式となります。
参照:大蔵省『減価償却資産の耐用年数等に関する省令』
法定耐用年数について詳しく知りたい方は、この記事もご参照ください。
消費税還付
消費税還付とは、受け取った消費税額よりも支払った消費税額が大きい場合、その差額を税務署から返還してもらえる制度を指します。
太陽光投資を行う場合、消費税還付を受けられる可能性があります。例えば、以下のような消費税の取引があったとします。
- 太陽光投資で100万円の消費税を支払い
- 売電で電力会社から5万円の消費税を預かり
- 管理費用で2万円の消費税を支払い
この場合の消費税は、
預かった消費税5万円-支払った消費税102万円=納める消費税-97万円
納めるべき消費税が-97万円となるため、消費税の還付が発生します。
但し、消費税還付にはメリットとデメリットがあるので、しっかりと把握したうえで申告をしましょう。
消費税還付のメリット
- 支払い過ぎた消費税が戻ってくる
- 消費税が還付されるので利回りが良くなる
消費税還付のデメリット
- 課税事業者になるための手続きが必要
- 3年間は消費税の支払いが発生する
- 事務負担や税理士費用がかかる
還付の手続き自体は個人でも可能ですが、複雑な制度なので税理士に依頼した方が確実です。税理士に依頼すると、その分の費用も発生するので、還付金が負担に見合うのか検討することが重要です。
また、課税事業者を選択すると、3年間は免税事業者に戻れません。課税売上高が1000万円未満であれば免税事業者なので、消費税を支払う義務はありません。しかし、課税事業者を選択していると、必ず消費税の支払い義務が発生するので注意が必要です。
消費税還付についてはこちらの記事を参照ください。
必要経費の計上
経費として認められるのは、以下2つの金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額 (2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
参照:国税庁『やさしい必要経費の知識』
太陽光投資における、具体的な経費項目は下記です。
- 減価償却費
- 融資の利息
- 打ち合わせ場所への移動費
- 設備のメンテナンス費用 など
領収書の保管について
前々年分の収入が300万円を超えると、領収書などの証拠書類を5年間保存することが義務化されている点は注意が必要です。
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