太陽光パネルの故障は売電収入の低下のみならず、火災事故に繋がる恐れがあります。従い、投資する上では、パネルの故障リスクと対処法についての理解が必要です。
本記事では、パネルの寿命や故障原因、対処法について、実際の事例とあわせて解説します。ぜひ、ご参考ください。
目次
パネルの寿命は25~30年
2012年に導入されたFIT制度により導入が急速に拡大した太陽光発電設備は、太陽光パネルの製品寿命(25~ 30年程度)を経て、2040年頃、大量に廃棄される見込みです。
引用『:資源エネルギー庁『第3部 2019年度(令和元年度)においてエネルギー需給に関して講じた施策の状況 第3章 再生可能エネルギーの導入加速 第2節 適正な事業規律の確保』』
上記のように、パネルの製品寿命は25~30年と考えられています。従い、FIT制度が適用されている発電所のパネル不具合は、寿命というよりも故障の可能性が高いと考えられます。
周辺機器の寿命については以下の記事をご参照ください。
太陽光パネルの故障原因と事例3選
実際の事例に沿って、故障原因について解説します。
1.獣害や自然災害によるパネルの破損
パネルの表面は頑強なガラスが用いられておりますが、以下のような要因で強い衝撃がかかると、ひび割れする可能性があります。
- カラスなどの投石
- 台風による飛来物
- 第三者による悪戯

参照:『社団法人太陽光発電検査協会』
また、パネルの微細な亀裂(マイクロクラック)が可視化し、カタツムリが這った痕に見える「スネイルトレイル」の発生もあります。

参照:『社団法人太陽光発電検査協会』
いずれも発電効率の低下を招くため、早期発見が重要です。また、上図のようにパネルが破損した場合、廃棄・撤去費用が生じます。具体的な費用相場については、以下の記事をご参照ください。
2.遮蔽物・付着物による部分的な発電不良
遮蔽物やパネル表面の付着物等により、部分的に発電不備が生じると、その部分が抵抗体となり、下図のように高熱を帯びるホットスポット現象を引き起こします。

参照:『社団法人太陽光発電検査協会』
パネルが焼損するだけでなく、最悪の場合、火災事故に繋がる恐れがあるため、初期段階での発見と対処が求められます。
また、ホットスポットにならずとも、遮蔽物による影やパネル表面の汚れは発電効率の低下に繋がります。発電効率の改善については、以下の記事をご参照ください。
3.経年劣化によるバックシートの腐食
パネル背面に貼られているバックシートが経年劣化に伴い腐食すると、下図のように亀裂が入り、剥がれが広がるケースがあります。

参照:『社団法人太陽光発電検査協会』
バックシートは太陽光パネル内部の「セル*」を保護する重要なフィルムであり、万が一セルが破損すれば、部分的に発電不可となります。
また、腐食だけでなく、前述のホットスポットが原因で焼損する事例も報告されています。

参照:『社団法人太陽光発電検査協会』
パネル故障時の対処法と回避ポイント
パネル故障時の対処法や、損失を極力回避するポイントについて解説します。
1.自己判断・修理しない
以下の理由により、自ら判断・修理するのは避けるべきでしょう。
- 事故や怪我リスクがある
- 保証適用外になる可能性がある
- 電気工事士以外の修理は法的に禁じられている
太陽光パネルの内部は通電している可能性があります。不用意に手を出せば感電リスクもあるため、まずはメーカーへの相談が必須です。
また、メーカー保証を受けるには、通常利用が前提につき、自ら修理等で状態を変えると、故意的に壊したものとして、保証適用外になる可能性があります。
加えて、以下で示されているように、一般用電気工作物(又は自家用電気工作物)に該当する太陽光発電設備の作業は電気工事士のみ許可されています。
第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物に係る電気工事の作業(一般用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であって、経済産業省令で定めるものを除く。以下同じ。)に従事してはならない。
引用:e-Gov法令検索『電気工事士法』
また、修理には「第二種電気工事士」が必要であり、無資格者が手を加えた場合は罰則対象になる点も念頭に置くべきです。
(※三月以下の懲役又は三万円以下の罰金の罰則)
参照:e-Gov法令検索『電気工事士法』
2.定期メンテナンスの実施
故障リスクの低減、異常の早期発見には、定期メンテナンスも欠かせません。
- パネル表面の汚れ除去による発電効率向上
- ホットスポット等のリスク抑制
- 故障箇所の早期発見
プロの業者へメンテナンスを委託することで、上記の恩恵を享受できます。メンテナンスや運用を委託できる「O&M」については、以下の記事をご参照ください。
3.発電量のチェック
パネル故障時は多少なりとも発電量が低下するため、発電量の推移を日々確認しておくことで異常を察知できる可能性があります。
但し、発電量は天候や周辺設備の状況等によっても大きく変動するため、発電量の計算方法や目安を理解しておく必要があります。発電量のシミュレーション方法や低下要因の詳細については、以下の記事をご参照ください。
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太陽光パネルの故障は売電収入の低下に直結します。太陽光投資を行う上では、故障リスクを十分に理解し、対策を講じることが重要です。
但し、本業で多忙な投資家自らが以下を遂行するのは困難なので、信頼できるメンテナンス会社に依頼することをお勧めします。
- 日々の発電量確認
- パネルの状態確認
SOLACLEでは、丸紅が保有する中古物件のみを取り揃えており、購入から運用・メンテナンスまでワンストップでサポートしております。
コンシェルジュが、お客様一人ひとりに最適なご提案をしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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