太陽光投資において、正確な発電量の予測と維持は極めて重要です。見立てが甘く、対策不足の場合、実際の発電量がシミュレーションを大幅に下回る可能性があります。
本記事では、発電量のシミュレーション方法から、発電量が下がる原因と対策、物件選定のポイントについて解説します。
- 太陽光投資を検討する上で、発電量を把握したい
- 実際の発電量がシミュレーションを下回っている
- 発電量が高い水準で安定した優良物件を探している
上記のようなお悩み・課題を抱えている投資家の方は、ぜひご参考ください。
目次
1-1.kW(キロワット)
1-2.kWh(キロワットアワー)
2.年間発電量の目安/調べ方
3.具体的な年間発電量の計算方法
3-1.1日の平均日射量とは
3-2.損失係数とは
3-3.発電量シミュレーション例
4.想定より少ない?発電量が低下する要因
4-1.日射量が少ない
4-2.損失係数の低下(ロスの増加)
4-3.雑草対策の不備
5.季節・時間帯・天候別で発電量はどう変わる?
5-1.季節(月)による変動はどれほどか
5-2.時間帯による変動はどれほどか
5-3.天候の影響はどれほどか
6.発電実績が豊富な中古物件がお勧め
7.太陽光投資なら『SOLACLE』へ
発電量を表す単位
太陽光の発電量を表す単位は、「kW(キロワット)」と「kWh(キロワットアワー)」が一般的に用いられます。
kW(キロワット)
電力の「大きさ」を表す単位で、太陽光発電においては、下図のような物件情報に記載されるシステム容量を指します。
kWの数値が大きいほど、多くの電力を発電できます。
kWh(キロワットアワー)
電力の「量」を表す単位で、1時間あたりの発電量を指します。
電力(kW)に発電時間(h)を乗ずることで、kWhの値が算出できます。
年間発電量の目安/調べ方
太陽光発電協会(JPEA)によると、太陽光発電の年間発電量の目安は
「1kWあたり1,000kWh」とされています。
例えば、30kWの低圧物件の場合の年間発電量は、
30kW × 1,000kWh = 30,000kWh
と求めることができます。実際には、設備の状態や様々な外的要因により変動しますが、概算のシミュレーションにあたっては有効な計算方法です。
太陽光投資で扱われることが多い、10kW以上50kW未満の低圧物件での発電シミュレーションについては、こちらの記事をご参照ください。
具体的な年間発電量の計算方法
より精密な発電量のシミュレーション作成においては、「日射量」と「損失係数」と呼ばれる指標を用いた、以下の計算式で求めることができます。
年間発電量
=1日の平均日射量 × 太陽光発電システム容量 × 損失係数 × 365
1日の平均日射量とは
太陽光発電の設置面積における1日あたりの平均日射量を指します。日射量とは、太陽光の放射エネルギー量のことで、天候や季節、時間帯、地域により変動します。
日射量の算出には、NEDOの日射量データベース(MONSOLA-11)を用いることが一般的です。システムの使用方法・流れは大まかに以下になります。
①所定の地域選択
画面左下の「住所検索」をクリックし、所定の住所を入力して検索。
②座標の出力
マップとともに座標が表示されるため、確認の上で「この地点のグラフを表示」をクリック。
③詳細データの抽出
画面左下の「データ一覧表を表示」をクリック。
④月平均斜面日射量
実際に検討している物件における、太陽光パネルの方位角や、傾斜角を元に、一覧表を確認することで、月平均斜面日射量(kWh/㎡・day)を調べることができます。
例えば、方位角30°、傾斜角40°の場合は下図の赤枠部分に該当します。
⑤1日の平均日射量
前項④で確認できる各月の平均日射量に日数分を乗じて、年間を通しての1日の平均日射量を算出することができます。
損失係数とは
太陽光パネルは、日射量のエネルギーを全て100%電力に変換できるわけではありません。実際には、パネルの劣化や汚れ、気温の上昇等によって変換効率が落ちてロスが生じています。
この一定量のロスを考慮した指標が「損失係数」になります。日本では、一般的に損失係数は0.85で使用されることが多いです。
発電量シミュレーション例
- 栃木県真岡市
- 30kW低圧
- 方位角30°、傾斜角40°
- 損失係数0.85
上記の条件に沿って、シミュレーションすると、
4.35(平均日射量) × 30kW(システム容量) × 0.85(損失係数) × 365
=40487.63 kWh(年間発電量)
と算出することが可能です。
想定より少ない?発電量が低下する要因
太陽光投資でよくある失敗として、シミュレーションよりも実際の発電量が大きく下回り、収益が見合わなくなるケースが挙げられます。
その原因について、前述の計算式における「日射量」と「損失係数」の2観点から解説していきます。
日射量が少ない
主に以下の要因が考えられます。
パネルの設置向き/角度
前述の「月平均斜面日射量」の表から見て取れるように、パネルの方位角度(向き)や設置角度によって、得られる日射量は大きく異なります。
周囲の建造物による影
周囲に高いビルや建造物がある場合、発電所に影がかかると、当然ながら日射量が減少します。物件選定をする際は、現地調査を行い周囲の環境も確認することが重要です。
日照時間が短いエリアの立地
設置エリアにより日射量が大きく異なります。例えば、NEDOの日射量データベース(日射量マップ)で2月の全国エリアマップを確認すると、雪の多い日本海側地域では一様に日射量が少ない傾向が見られております。
ツールを使用しながら、実際に検討している物件のエリアにおける日射量を調査することが重要です。
損失係数の低下(ロスの増加)
主に以下の要因が考えられます。
パネルの汚れや経年劣化要因
太陽光パネルの表面が汚れていると、発電効率が低下します。汚れのよくある原因は以下になります。
- 土埃・砂埃
- 鳥の糞
- 花粉
- 落ち葉
- 黄砂
- 火山灰
また、太陽光パネルは経年劣化します。環境省によると劣化率は、0.5〜1%/年とされています。汚れ原因などが特定できない場合は、パネルの経年劣化要因である可能性も高いため、パネル交換の検討も視野に入れておく必要があります。
雑草対策の不備
メンテナンスを怠ると、周囲の雑草が伸び、パネルに影が生じ、発電効率の低下に至ります。このような事態を防ぐためにも、定期的なメンテナンスの実施が必要です。
メンテナンスの詳細事項については、こちらの記事をご参照ください。
季節・時間帯・天候別で発電量はどう変わる?
その他、発電量に関してよくある疑問について、解消していきます。
季節(月)による変動はどれほどか
季節ごとの変動は、多い月と少ない月で2倍弱程度も発電量に開きがあります。1年を通して最も発電量が多いのが4月〜5月、逆に最も少ないのが11月〜12月です。
日射量が多いのは日が長い7月〜8月ですが、この時期は気温が高いため、パネルが高温になることで発電効率が低下します。結果、比較的日照時間が長く、かつ気温が高すぎない4月〜5月が最も発電量が伸びます。
冬期は単純に日照時間の短い月になるため、特に発電量が減少します。
時間帯による変動はどれほどか
日射量は日の出から正午をピークに上昇し、日の入りにかけて上昇と同程度のペースで下降します。さらに、発電量も日射量にほぼ比例するように変動していきます。
天候の影響はどれほどか
曇天時の発電量は快晴時の50%程度、雨や雪の際の発電量は1/40程度にまで落ち込むこともあり得ます。
雲が空を覆っており、太陽を目視することができないような天候であっても、太陽光は大気中に充満しており、間接的に晴天時の半分程度の日射量を得ることができます(散乱日射量)。
但し、雨や雪などの天候の場合は、大気が厚い雲で覆われているため散乱日射量も大幅に減少し、晴天時と比較するとゼロに近い水準にまで下落します。
天候による発電量への影響は非常に大きいため、設置拠点の過去のデータを長期間に渡って確認し、曇天、雨天の割合を確認することも重要です。
発電実績が豊富な中古物件がお勧め
いくら綿密にシミュレーションを行っても、実際の発電量を確認するまでは不安なものです。その点、中古物件では、過去の発電実績を参照できるため、実際の発電量がシミュレーションを大きく下回る可能性は低くなります。
但し、中古物件は一定の年数稼働しているため、設備の経年劣化が進んでいる可能性があります。場合によっては太陽光パネルや、パワーコンディショナーを取り替える必要があるため、設備状況も加味した上での検討がお勧めです。
中古物件のメリットやデメリットについては、こちらの記事をご参照ください。
太陽光投資なら『SOLACLE』へ
発電量の計算方法や、発電量を左右する要素について解説をしましたが、綿密に計画を立て、発電量を管理するには、その分リソースと知見が必要になります。
「そこまで物件調査や投資運用にリソースは確保できないが、発電量がシミュレーションを大きく下回るような失敗は避けたい」という課題感をお持ちの方は、SOLACLEへご相談ください。
SOLACLEは、丸紅が保有する優良な中古物件のみを取り扱っており、購入から運用・メンテナンスまでワンストップでサポートいたします。
コンシェルジュが、お客様一人ひとりに最適なご提案をしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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