太陽光投資を行う上では、保険加入の検討が必要です。
特に日本では、台風や集中豪雨など自然災害が多いため、太陽光投災害リスクを念頭に置く必要があります。
本記事では、太陽光投資における保険の必要性や種類、選ぶ際の重要なポイントなどを解説します。
目次
太陽光投資において保険の加入は必要か?
基本的に太陽光投資と保険はセットで検討すべきです。特に日本においては自然災害リスクが高く、場合によっては数千万円単位の損失につながる可能性があるため、慎重な検討が必要です。
以下、いくつか事例を紹介します。
自然災害による被害
台風と集中豪雨による被害事例を以下で紹介します。
台風による被害事例
⼤阪府⼤阪市此花区に設置された太陽光パネルが、台風の風圧による応力や、構内外の砂利が飛散したことでガラスが破損。これにより、太陽光パネルの破損枚数は約3万6,000枚の内3分の1にまで達した。
集中豪雨による被害事例
兵庫県姫路市に設置された太陽光パネルとパワーコンディショナーが、連日の集中豪雨による砂崩れで、崩落。太陽光パネルは約3,500枚の内半数が被害を受け、パワーコンディショナーは70台中60台が破損した。
自然災害以外による被害
近年、メンテナンス不足や盗難などの人為災害や、動物の侵入による火災被害も多発しています。以下で、自然災害以外による被害の具体的な事例を紹介します。
太陽光パネルの盗難による被害事例
茨城県結城市の資材置き場から太陽光パネルが盗難(被害総額は、約1億2,000万円)。太陽光発電所は一覧サイトのマップに位置が記載されているため窃盗団の標的になりやすいという問題があることが指摘されている。
参照:東京新聞『情報源は経済産業省? ソーラーパネル6000枚盗まれる』
太陽光発電の接合部品である銅線ケーブルの盗難による被害事例
群馬県太田市にある太陽光発電施設から銅線ケーブルが盗難される事件が発生(被害総額は、約1,300万円)。銅線ケーブルは、シリアルナンバーなどがなく運びやすさもあるため太陽光パネルよりも盗難被害が発生しやすくなっている。
参照:NHKニュース『群馬太田 太陽光発電所銅で線ケーブル盗難 約1300万円相当』
小動物の侵入を原因とする火災の被害事例
配線を小動物がかじったことにより、太陽光モジュールで発電された電力が配線から金属屋根へ漏電、火花が発生。その火花が堆積していた落ち葉に着火して火災の被害が発生した。
参照:メガソーラービジネス『小動物がかじって発火、ストリング全体が発電停止 – トラブル』
太陽光投資における保険の種類
主に以下があります。
- メーカー保証
- 火災保険・動産総合保険
- 施設賠償責任保険
- 休業損害補償
- 出力抑制保険
- 信販会社のローン付帯保険
- 保険付きのメンテナンスサービス
メーカー保証
メーカー保証には、「製品保証」と「出力保証」があります。
製品保証
太陽光パネルやパワーコンディショナーの機器トラブルや不具合が起きた際に適用される保証。保証内容は、家電製品のメーカー保証と同様に、交換や修理依頼が可能です。保証期間は、メーカーによるものの10〜15年が一般的となります。
但し、台風や落雷などの外部からの被害には対応していないため注意が必要です。
出力保証
実際の発電量がメーカー規定の発電量を下回った時に適用される保証です。保証期間は、多くのメーカーが20〜25年と設定しています。
交換や修理を行うためには、発電量が下回っているという事実をメーカー側に証明しなければならないため、売電明細などは控えておく必要があります。
火災保険・動産総合保険
損害保険会社で販売している、多くの投資家が加入している重要度の高い保険商品です。
補償対象は以下となります。
被害の種類 | 被害内容 | 火災保険 | 動産総合保険 |
---|---|---|---|
火災 | 太陽光パネルをつなぐケーブルが破損して出火した | 〇 | 〇 |
破裂・爆発 | 近くで火災が発生してパワーコンディショナーが爆発した | 〇 | 〇 |
落雷 | 雷が落ちて太陽光パネルが損壊した | 〇 | 〇 |
風災・ひょう災・雪災 | 太陽光パネルが竜巻によって吹き飛ばされた | 〇 | 〇 |
水災 | 台風や集中豪雨によって太陽光パネルやパワーコンディショナーなどが水没した | 〇 | 〇 |
水濡れ | 給水管の破裂によって太陽光パネルをつなぐ銅線ケーブルが濡れたことでケーブルが破損した | 〇 | 〇 |
落下・飛来・衝突 | 飛行機の墜落によって太陽光発電施設が損壊した | 〇 | 〇 |
盗難 | 太陽光パネルや銅線ケーブルが盗まれた | ✕ | 〇 |
電気的・機械的事故 | モジュールやパワーコンディショナーなどの機器がショートやスパークなどを起こして破損した | 〇 | ✕ |
不測かつ突発的な事故 | 飛来物によって、運送中にパネルが破損した | ✕ | 〇 |
表のように、2つの保険は対象範囲が若干、異なります。火災保険では電気的・機械的事故が対象であるのに対し、動産総合保険では盗難・不測かつ突発的な事故が対象となっています。
保険商品によって補償される範囲が異なる可能性があるため、加入の際には補償内容を確認することが重要です。
尚、地震による火災や津波は、地震保険でなければ補償されないため注意が必要です。地震保険は、単体加入ができず、火災保険に特約をつけて加入することになります。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険とは、施設の管理や仕事を遂行する最中に発生した事故の人的、物的損害を賠償する保険です。
参照:東京海上日動『施設賠償責任保険 – 東京海上日動』
自然災害による事故で、人や建造物に損害を与えた場合、多額の賠償金を要求される可能性があります。仮に管理者側の過失が無くとも賠償責任が問われるため、発電設備が住宅や交通道路に面しているようなケースは保険加入をお勧めします。
休業損害補償
火災や落雷などの予測不能な自然災害によって設備が損傷した際に、復旧までの期間の売電収入を補償する保険。火災保険や企業総合補償保険の特約とされていることが多いです。
尚、太陽光発電の出力抑制による損失は対象外であるため注意が必要です。
出力抑制保険
出力抑制で、売電収入を得られなくなった際に補償する保険です。
出力抑制は、電力需給バランスを取るために需要に合わせて実施されますが、実際に出力抑制が適用されたのは、九州電力管内の離島である種子島と壱岐などの数回のみとなりますので、保険加入の優先順位は低くなります。
保険が付帯する場合もある?
太陽光投資のサービスに加入した際に、損害保険が付帯されている場合があります。主な事例として3点紹介します。
信販会社のローン付帯保険
信販会社でソーラーローンを利用して太陽光投資を始めた場合、付帯保険が用意されている商品があります。信販会社によって補償の内容や範囲が異なるものの、動産総合保険や休業損害補償が付帯されています。但し、動産総合保険の補償期間が約10年と短い商品が多く、保険金も満額補償されません。
補償期間が終了したら別の損害保険に加入することを検討しましょう。
融資・ローンに関する記事はこちらをご参照ください。
保険付きのメンテナンスサービス
太陽光投資を行うに当たってメンテナンスと損害保険をパッケージ化したサービスです。事故が発生した際、管理会社にメンテナンスや保険対応までのすべてを一元化して任せることが可能です。
窓口の一元化によって手間が省けるというメリットがあります。但し、損害保険の補償内容が限定的なサービスもありますので、加入する前に、定期点検や遠隔による監視、事故発生時の駆けつけ対応、自然災害などに対応した損害保険や休業損害補償の有無を確認することが重要です。
メンテナンスに関する詳細はこちらご参照ください。
失敗しない!保険選びで重要なポイント
太陽光投資において損害保険を選ぶ際の重要なポイントを紹介します。
リスクを洗い出す
リスクの把握次第で、必要な保険を適切に精査することが可能です。
例えば、山奥にある太陽光発電で、住宅や人通りが無い立地では、施設賠償責任保険の必要度は高くありません。一方、太陽光パネルや銅線ケーブルの盗難可能性が高い場合、盗難の補償が受けられる火災保険や動産総合保険への加入を検討するべきでしょう。
また、自然災害リスクの考慮は必要不可欠です。国土交通省や各自治体において公表されている洪水被害や土砂災害などのハザードマップを参考するのが効果的です。
必ず現地調査を行う
「写真と全然違う」
「思ったより劣化している」
「周囲の住宅と想像よりも近かった」
上記は現地調査を行う際によくあるケースです。現地の環境をより詳しく把握することで、本当に必要度の高い保険を選定することが可能となります。
シミュレーションを行う
加入前に、年間の保険料を含めた収支シミュレーションを作成することが重要です。
年間の保険料は太陽光投資の経費になるため、経費として受容できる金額を想定する必要があります。
経費項目やその他節税対策に関する内容はこちらの記事をご参考ください。
太陽光投資の保険のご相談ならSOLACLEへ
日本は災害が多い国であるため、保険加入の検討が必要です。但し、全種類の保険に加入する必要性は無く、物件や発電状況などに基づき選別することが重要です。
太陽光投資を検討しており、保険の種類について悩まれている方や、手続きをする時間が取れない方は「SOLACLE」にご相談ください。
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