野立ての太陽光投資における検討要素の一つとして、土地の面積があります。必要面積の見立てを誤ると、収支計画と大きな乖離が生じてしまいます。
本記事では、必要面積の目安・計算方法、面積と併せて注意すべき点について解説します。
- 野立ての太陽光を新築する上で必要面積を把握したい
- 現在、所有する土地に設置できる太陽光発電所の規模を把握したい
- 中古物件探しにおいて、面積や土地状況を的確に把握したい
上記のような課題を抱えている方は、ぜひ本記事をご参考ください。
目次
野立て太陽光発電の必要面積の目安
必要面積は、発電量の大きさを示す「システム容量」により決定します。システム容量別の必要面積の目安は以下です。
環境省が面積調査時に用いる、単位面積当たりの出力 0.0667kW/㎡(15㎡あたり 1kW)の指標数値を参照しています。
従い、システム容量が決まっている場合の必要面積は、
「システム容量(kW)×15(㎡)」
土地を保有しているケースなどで、既に面積が決まっている場合のシステム容量は、
「面積(㎡)×0.067(kW)」
で算出可能です。但し、実際には傾斜や緯度といった土地条件によっても変動するため、あくまで目安としてご参考ください。
敷地面積=有効面積ではない
面積を考慮する上では、敷地面積ではなく「有効面積」で考える必要があります。有効面積に含まない例として、太陽光パネルが設置できない段差や急斜面(とりわけ日光を受けるのに不利な北側の傾斜)や、敷地の区切りがパネル設置に適していないケース(三角地など)が挙げられます。
また、もともと農地で用水路が流れている場合、安全性の関係上で水回りにはパネル設置ができないケースも稀に存在します。
敷地面積=パネル面積ではない
敷地面積全体にパネルを敷き詰められるわけではありません。敷地内には以下3種類の面積を考慮する必要があります。
- パネル
- パネル間の離隔距離(クリアランス)
- フェンス
パネル
大部分を占める太陽光発電パネルのサイズは、メーカーや製品によって異なります。例えば以下のようなパネルがあります。
- 製品:JINKO製パネル550W品
- 型式:JKM550M-72HL4-V-J
- サイズ:2278×1134×35mm
パネル間の離隔距離(クリアランス)
パネルは「モジュール(module)」とも呼ばれますが、このモジュールを縦横に隙間なく並べて直列・並列に接続した単位を「アレイ」と呼びます。
このアレイ間の離隔距離は「クリアランス」と呼ばれ、以下のような役割を担います。
- 強風による外部負荷の分散
- メンテナンスのための作業スペース確保
- アレイの影による発電効率の低下防止
クリアランスに必要なスペースの目安は、人が1人作業できる程度ですが、パネルの設置確度や傾斜によっても変動します。
メンテナンスの必要性や、実施頻度などについては、こちらの記事をご参照ください。
フェンス
改正FIT法により、設備周辺にフェンス(または柵)を設置することが義務付けられており、主な役割は以下です。
- 野生動物等の侵入トラブルの防止
- 盗難目的での設備内侵入の防止
- 誤侵入による感電事故の防止
- 災害時における周辺への被害拡大防止
外部から設備を守る観点と、設備が外部に被害を及ぼさないという双方の観点からフェンスの設置が必要です。
フェンス自体はそこまで面積を要しませんが、外部からパネルに触れられない距離の目安として1m程度確保すると良いでしょう。また同時に、クリアランスとしての役割も担うため、その点も踏まえて考慮すべきです。
面積と併せて考慮すべき6つの点
野立ての太陽光投資物件を検討する上では、面積だけでなく様々な土地条件の考慮が必要です。特に発電効率や事業収益に関わる、以下6点について解説します。
- 土地代
- 日射量
- 周囲環境
- 道路確保
- ハザードマップとの位置関係
- 地盤の強さ
1.土地代
太陽光投資の収支計算において土地代を無視することはできません。
購入時の土地価格に加えて購入後に発生する不動産取得税、固定資産税も収支計画を立てる上での必要項目です。
- 土地代:購入時に1回発生(初期費用)
- 不動産取得税:購入後に1回発生(初期費用)
- 固定資産税:年に4回発生(ランニング費用)
※自治体によって支払い回数は異なる。
※土地を賃貸契約する場合、固定資産税は発生しない。
2.日射量
エリアによって日射量は大きく変わります。日射量と相関性の高い日照時間で比較したデータが以下です。
上位エリアと下位エリアで約30%も年間日照時間が変わります。たとえ面積が広くても、日射量が少ないと十分な発電量を得ることができなくなります。上記のような日照データ等も確認の上、物件選定をすべきです。
日射量など、発電量・発電効率を最大化させるために必要な考え方については、こちらの記事をご参照ください。
3.周囲環境
周囲の建造物や木々による影がパネルに重なると、発電量は低下するため、物件選定の際は周囲環境の確認も重要です。
また、影ができなくとも太陽光パネルの反射光や周辺機器の騒音(温度上昇対策のファンによる騒音)が原因で、近隣住民とトラブルになる可能性もあるため、そのようなリスクが潜んでいないかの確認もすべきでしょう。
4.道路確保
土地が道路に面しているか、少なくとも道路に面したエリアに近いかといった道路確保も見落としがちな点です。
道路から離れたエリアに位置している場合、機材の運搬・搬入や作業車の進入が難航するため、工事費用やメンテナンス費用が非常に高額になる可能性があります。
最悪の場合、工事が実施できず、発電事業そのものを撤退しなければならない可能性もあるため、物件選定時は十分に注意が必要です。
5.ハザードマップとの位置関係
ハザードマップを確認し、その土地の災害リスクについて把握することも重要です。
自然災害は太陽光投資におけるリスクの一つです。自然災害自体を回避する手段はありませんが、災害リスクの大きさや、危険性はハザードマップで確認可能です。
6.地盤の強さ
見落としがちですが、重要なポイントとして地盤の強さが挙げられます。
地盤が弱い場合、雨や風の影響を受けての土壌流出リスクがあります。また、設備自体が倒壊する恐れもあります。
排水工事や設備工事が必要になると、工事費用がかさみ収益が圧縮されるため、物件選定時には、専門家と現地調査を実施するのがお勧めです。
これらのような、太陽光投資におけるリスクや失敗事例、対策の詳細については、こちらの記事をご参照ください。
太陽光投資なら『SOLACLE』へ
太陽光投資を検討する上では、発電量の観点から土地の面積を考慮する必要があります。但し、収益性・リスク回避の観点から、面積以外の諸条件にも注意が必要です。
SOLACLEでは、丸紅が保有する優良な中古物件をご紹介しています。面積や土地条件等、各種観点で丸紅の厳しい基準を満たした物件のみを取り扱っているため、安心してご検討いただけます。
物件の詳細を知りたい方には、上図のように航空写真や土地のレイアウトなども、コンシェルジュよりご案内可能ですので、お気軽にご相談ください。
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