太陽光投資において、発電量を最大化させる為、「過積載」を検討する投資家も多いはずです。
本記事では、「過積載」の定義や、メリット、注意点について解説します。
- 過積載で”収益”が増えるのか不安
- 過積載された物件のリスクを把握したい
上記の課題を抱えている方は、ぜひご参考ください。
目次
太陽光投資の過積載とは?
過積載とは、太陽光パネルを増設し、パワーコンディショナーの出力を最大化することですが、その前に「パワーコンディショナー」と「ピークカット」の2つのキーワードについて理解する必要があります。
パワーコンディショナーとは、太陽光パネルから出て来る電力を、電力会社や一般施設に送電できるよう変換する装置です。
パワーコンディショナーにはシステム容量(kW)が定められており、パネルの発電量がシステム容量を上回ると、その分は電力会社へ送電されずカットされます。
このように、発電量の余剰分がカットされることを「ピークカット」と呼びます。通常、ピークカットされない程度に、太陽光パネルの出力調整(発電量の調整)を行いますが、その場合、雨天時や朝晩は日照量が少なく、発電量が低下します。
そこで、過積載をすることで発電量の多い日中などは、出力の超過分はカットされてしまいますが、全体の発電量の底上げを可能とします。
「折角、過積載で増加した発電量がピークカットされたら意味ないのでは?」という疑問が生じますが、極論として「過積載分の発電量 > ピークカット分の発電量」になれば売電収入は増加します。
※実際には、過積載にかかる費用も考慮が必要です。詳細は後述します。
過積載のメリット
以下の2点が挙げられます。
1.収益向上が見込める
繰り返しとなりますが、ピークカット分の発電量を差し引いても、過積載により底上げされた発電量が多くなるため、収益向上を見込めます。
過積載率にもよりますが、特に日射量が弱くなる雨天時においては日中でもピークカットされないケースもあります。
2.出力50kW以上でも低圧区分になる
発電所の低圧や高圧といった区分は、パネルの出力容量ではなく、パワーコンディショナーのシステム容量で決定します。
従い、10kW以上50kW未満の低圧物件において、過積載によりパネルの出力容量が50kW以上になるとしても、パワーコンディショナーのシステム容量が50kW未満であれば、低圧の取扱いとなります。
高圧と比較した際の低圧のメリットとしては、維持コストを抑えられる点が挙げられます。(高圧の場合、案件毎に主任電気技術者を採用する必要がある。)
低圧の取扱いのまま、売電収益を増加できる点はメリットといえるでしょう。
低圧や高圧の違いの詳細は、こちらの記事をご参照ください。
過積載のデメリット・注意点
大きく以下の4点があります。
1.維持・廃棄コストがかかる
過積載によりパネル枚数が増える為、その分「メンテナンス」「廃棄・撤去」に要するコストが増加します。
これらの合計コストが過積載分の売電収入を下回らなければ、過積載のメリットを享受することができません。
必要コストはケースバイケースですが、以下を目安として、収益構造のバランスを検討することが重要です。
メンテナンス費用:1,500円/kW程度
依頼業者、メンテナンス内容、設置場所によって料金は変動しますので、概算としてお考え下さい。
単純計算ですが、10kW過積載した場合、年間「1,500円×10kW=15,000円」分が追加で発生することになります。
また、過積載の有無に関わらずメンテナンス費用を一律とする業者も増えて来ていますので、メンテンンスを依頼する際は、各業者の料金体系を確認することをお勧めします。
メンテナンスの必要性や詳細事項については、こちらの記事をご参照ください。
廃棄・撤去費用:初期費用の5%程度
現行のFIT制度上、既に定められている調達価格において想定されている廃棄等費用の額は、調達価格の決定時に想定されている資本費の5%として、最も高かった2012年度で1.7万円/kW相当、最も低くなっている2019年度で1.0万円/kW相当。
引用:経済産業省『太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを 担保する制度に関する詳細検討②』
経済産業省の調べによると、撤去費用の総額は、太陽光発電システムにかかる費用の5%程度としています。10kWの過積載をした場合、パネル費がおよそ114万円につき、「114万円×5% = 5.7万円」が目安になります。
但し、実際には2022年7月から適用された「撤去費用廃棄等費用積立制度」により具体的な積立金額が設けられています。詳細はこちらの記事をご参照ください。
2.ペナルティが発生する
太陽光パネルの合計出力を3%又は3kW以上増加させる場合に調達価格を変更する制度改正を行いました。
引用:資源エネルギー庁『第1節 固定価格買取制度(FIT)の適切な運用』
FIT認定取得後に過積載を実施する場合、上記のペナルティが設けられています。調達価格(売電価格)の抑制制度は、設備規模等の状況によるため、変更認定申請を行う際に確認する必要があります。
但し、これは投資家自らがFIT認定後にパネルを増設するケースに限ります。一般的には、既に過積載された物件を購入する投資家が多いため、そのような場合、ペナルティの心配は不要です。
3.メーカー保証を受けられない可能性がある
一般的に、パワーコンディショナーにはメーカー保証が付帯しています。その中に、過積載率が定められていますが、その過積載率を上回った状態で利用していた場合、メーカー保証は無効になります。
資源エネルギー庁が提示している、過積載を行っている事業者の平均過積載率は約180%(2021年・低圧)という数字を目安にすると良いでしょう。
但し、「HUAWEI」のパワーコンディショナーでは過積載率300%以上が可能であるように、メーカーにより大きく変動するため、メーカー選定時には詳細確認を推奨します。
過積載の実施方法と流れ
前述の通り、既に過積載された物件を購入して、太陽光投資を始めるケースがほとんどですが、FIT認定後にもし過積載を行う場合は、再生可能エネルギー発電設備軽微変更届出書という変更書類を経済産業省へ提出する必要があります。
参考:資源エネルギー庁『<変更内容ごとの変更手続の整理表>』
太陽光投資に関するご相談ならSOLACLEへ
過積載は発電量最大化を実現できるため、前向きに検討すべき施策である一方、
- コストを鑑みた収益計算
- メーカー保証と過積載率の確認
上記について、慎重な考慮と対応が必要なため、新規で太陽光投資へ参入検討している投資家や、本業で日頃多忙な投資家の方々にとっては、手間や負担が大きくなります。
SOLACLEでは、経験豊富なコンシェルジュが一人ひとりに最善の太陽光投資をご提案いたします。
物件の売買だけでなく、保険、融資、メンテナンス、税務対応までワンストップでサポートしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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