太陽光投資において、発電効率の低下は売電収入の低下に直結するため、未然の対策が重要です。
本記事では、発電効率の向上・維持に重要な「パネル」「立地」「メンテナンス」の3要素について、解説します。
- 発電効率を高める方法を把握しておきたい
- 実際の発電量がシミュレーションを大きく下回っている
上記の課題を抱えている方は、ぜひご参考ください。
目次
太陽光発電量を最大化するには?
主に、以下の3要素が重要です。
- パネルの変換効率
- 立地条件
- メンテナンス
先ず前提条件として、変換効率の良いパネルを導入し、日射量や条件の良い立地を選定することで高い発電量が期待できます。
加えて、定期的なメンテナンスにより、発電量を維持することが重要です。
次の項目以降で、各詳細を解説します。
変換効率の高い太陽光パネルを使用する
太陽光パネルを選ぶ際は、現状変換効率が「20%前後」のものがお勧めです(一般的に13〜20%程度が相場です)。
変換効率とは?
変換効率には、下記2つの指標があります。
モジュール変換効率
モジュール変換効率とは太陽光パネル1㎡あたりの変換効率を指し、一般的に「変換効率」とはこの指標を指すことが多いです。
セル変換効率
セルとは太陽光パネルの最小単位の部品のことで、電池セル1枚あたりの変換効率をセル変換効率と呼びます。
セル変換効率はセル同士の接続による電気抵抗が考慮されないため、モジュール変換効率と比べて高い値が算出される傾向にあります。
一般的に「変換効率」というとモジュール変換効率のことを指しますが、業者によってはセル変換効率の数字を採用するケースもあるため、パネル選定時には注意が必要です。
最新のメーカーパネルを使用する
環境省によると、太陽光パネルのモジュール変換効率は技術進歩により、10年単位で2倍以上のポテンシャルになる将来が示唆されています。
従い、太陽光発電量を最大化するためには、変換効率の高い最新パネルを使用することをお勧めします。
日当たりの良い立地にする
太陽光発電は、日当たりの良し悪しによって発電量が左右されることは感覚的にも想像できると思います。
日照時間や設置場所の観点から、適切な立地条件について以下、ご参考ください。
日照時間の長い地域を選ぶ
日照時間の長い地域に太陽光発電を設置することが重要です。
下図は、気象庁による都道府県別の30年間(1981年〜2010年)の年間平均日照時間と、偏差値で色分けしたデータです。
1位の山梨県「2,183時間」と、最下位の秋田県「1,526時間」を比較すると、約30%も年間日照時間が変わります。
全体傾向として、内陸部と太平洋側の日照時間が長く、一方で雪の多い日本海側や東北地方の日照時間が短い傾向にあります。
※気温が高い地域では、日照時間が長い場合でも、パネルが熱を持つことにより、発電効率が低下する可能性があります。
周辺・土地状況も要確認
日照時間が長いエリアでも、周辺に高い建物や木々があり、パネルに影がかかってしまうと、発電効率が低下します。
現地調査で確認することはもちろん、将来的に高い建物が建つ可能性も見据えて、物件購入を検討することが重要です。
但し、日当たりが良くても、地盤条件が悪いと発電効率の低下に繋がる可能性があることも忘れてはいけません。
例えば、上図のような軟弱な地盤では、架台が傾き、太陽光パネルにねじれや段差が生じます。部分的に、負荷が掛かるため、やがてパネル内部のセルが破損し、発電効率の低下に繋がる可能性があります。
地盤の状況も踏まえて、現地調査をすることがお勧めです。物件調査のおける失敗例については、こちらの記事をご参照ください。
メンテナンスで発電効率を維持する
些細な原因で、発電効率は容易に低下するため、定期的なメンテナンスが重要です。発電効率が低下する4つの原因と、対処方法について解説します。
発電効率が低下する4つの原因
1.太陽光パネルの経年劣化
「太陽光パネルは0.5〜1%/年の劣化率が見込まれる」と、環境省が示しているように、適切な使用環境下においても、太陽光パネルは経年劣化します。
経年劣化自体の回復手段はないため、発電量のシミュレーション段階で、経年劣化による発電量の低下を考慮する必要があります。
太陽光パネルの寿命は一般的に、20〜25年とされているため、破損や発電不良などが生じない限り、交換の必要性はありません。
一方、パワーコンディショナーについては、10年ほどで性能が低下することが多い為、定期的に修繕や交換をする必要があります。
但し、メーカーの保証期間内であれば、故障した際に無償交換となる場合もあるため、あらかじめ保証内容・期間を確認しておくことも重要です。
太陽光パネルや、パワーコンディショナーといった周辺機器に関する寿命については、こちらの記事をご参照ください。
2.太陽光パネルの汚れ
太陽光パネル上の汚れは、発電効率を低下させます。立地条件により、汚れの原因は異なりますが、主に以下が挙げられます。
- 土埃・砂埃
- 鳥の糞
- 花粉
- 落ち葉
- 黄砂
- 火山灰
また、汚れは単に発電効率を低下させるだけでなく、局所的に発熱して高温になるホットスポット現象を引き起こす可能性もあり、最悪の場合、火災に繋がる可能性もあるため、太陽光パネルの定期点検、メンテナンスは必要不可欠です。
太陽光パネルの掃除やメンテナンスに関しては、感電やパネル破損リスクなどがあるため、基本的には専門業者への依頼が推奨されます。
メンテナンスの詳細項目や費用については、こちらの記事をご参照ください。
3.雑草によりパネルに影がかかる
周辺の雑草を放置すると、直接パネルに影を作り発電効率低下の要因ともなる為、雑草対策は必要不可欠です。
具体的には、定期的な手作業による除草作業のほか、除草剤の散布で雑草を枯らし、生えにくくする手法が挙げられます。
また、除草シートやアスファルト、砕石やカバープランツなど、そもそも周辺に雑草が生えること自体を防止する対策も有効です。
4.パネルのガラス破損
大規模な自然災害などの外的要因により、パネルが破損した場合、発電効率の低下に直結するため、パネル交換が必要です。
安全な運用保守なら「O&M」
O&Mとは、太陽光発電の運用、メンテナンスを委託できるサービスのことです。
太陽光投資はメンテナンスや状況把握が適宜必要となる他、設備が遠方にあるケースも多く、投資家自身ですべて管理することは困難です。
ゆえに、手離れ良く適切な運用保守を実現するには、O&Mがお勧めです。サービス内容によっては、遠隔監視システムの導入で、日々の発電量や異常察知が可能となるため、発電効率の低下を早期発見し、改善・対処することができます。
O&Mのサービス詳細や、費用相場についてはこちらの記事をご参考ください。
中古物件で発電量を改善する方法
先述の通り中古物件は、パネルの経年劣化により、0.5〜1%/年の劣化率が見込まれ、変換効率も低くなる場合が多いです。
また、環境省が10年単位で変換効率が2倍以上に変動する見通しを立てている点からも、中古物件で使用されてる太陽光パネルの交換をすることも一案です。
但し、新しいパネルの購入費用・廃棄費用・リフォーム費用等の追加投資が必要になる上、リフォーム工事期間は一時的に売電が止まる為、投資に対するリターンも考慮した上での判断が必要です。
中古物件は経年劣化しても、売電価格が高い
リフォームを行わない場合でも、中古物件はFIT単価が高いため、経年劣化で発電効率が低下したとしても、売電価格でみると損失は少ないケースもあります。
例えば、下記条件の新築物件と中古物件における、発電量および売電価格を比較すると、
新築物件:30kW、稼働1年目、FIT認定2022年(FIT単価11円)
中古物件:30kW、稼働10年目、FIT認定2012年(FIT単価34円)
※パネルの劣化率を1%/年と仮定
※パネルの劣化率=発電量の減少率 と仮定
※初年度の発電量を、kW×1,000と仮定
計算は以下になります。
新築物件の場合
発電量:30×1,000=30,000kWh/年
売電価格:11×30,000=330,000円/年
中古物件の場合
発電量:30×1,000×(1-0.01)^10=27,131kWh/年
売電価格:34×27,131=922,470円/年
上記は極端な例ですが、経年劣化した中古物件の年間発電量は、新築と比較すると劣るものの、最終的な売電価格でみるとFIT単価の高い中古物件が優位になる可能性があります。
中古物件の太陽光投資をご検討の方はこちらの記事をご参照ください。
発電効率や中古物件のご相談は『SOLACLE』へ
太陽光発電において高い収益を得るためには、発電効率をなるべく維持することが重要です。
変換効率の高いパネルを選定し、条件の良い立地を選ぶことを前提とした上で、適切なメンテナンスが欠かせません。
SOLACLEでは、丸紅が保有する優良な中古物件のみ取り扱っており、現地調査はもちろん、メンテナンスまでワンストップでサポートしています。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
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