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2023.2.3

2023.10.18

【太陽光投資】収支シミュレーション徹底解説!内訳と計算方法も紹介

太陽光投資を検討する上で必要不可欠な収支シミュレーションですが、いざ業者に見積もりを取ると、

  • 妥当性を判断できない
  • 計算ロジックが不確か
  • 実際の売電収入と乖離が大きい

上記のような課題を抱える投資家も多いかと思います。正確な投資判断をするには、収支構造の理解と収支シミュレーションの精査が求められます。

本記事では、収支シミュレーションの作成方法や詳細項目について、「収入」と「支出」の両側面から解説します。

ぜひ、ご参考ください。


目次

太陽光投資の収入シミュレーション


太陽光投資における収入は、「売電収入」と「消費税還付」の2点です。

売電収入


売電収入は以下の計算式で求めることができます。

固定買取価格(FIT価格)× 発電量(kWh)

固定買取価格(FIT価格)

FIT制度により定められた金額で、認定年の金額に準じます。

固定買取価格(FIT価格)
参照:資源エネルギー庁『買取価格・期間等(2012年度~2021年度)

発電量

太陽光発電協会(JPEA)では、「1kWあたり1,000kWh」を年間発電量の目安として設定しています。以下の発電所の場合、

  • 低圧(40kW)
  • FIT認定年2020年
  • FIT価格12円

年間売電収入は「40kW×1,000kWh×12円=480,000円」と計算できます。

FIT価格や制度の詳細についてはこちらの記事をご参照ください。

消費税還付


消費税還付とは、受け取る消費税額よりも支払う消費税額が大きい場合、その差額を税務署から還付してもらえる制度です。

例えば、課税期間中において以下の収入を得た場合

  • 設備への投資:2,200万円(内消費税額200万円)
  • 売電収入:220万円(内消費税額20万円)

「20万円-200万円=-180万円」の差額を還付金として受け取ることができます。

但し、消費税還付は以下の条件を満たした「課税事業者」のみ適用される点は注意が必要です。

  • 消費税課税事業者選択届出書を提出する
  • 課税売上高が1,000万円を超える事業者になる

対象の経費項目や消費税還付制度の詳細はこちらの記事をご参照ください。

太陽光投資の支出シミュレーション


大きく「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」に分類されます。

イニシャルコスト


主に以下の項目が挙げられます。

イニシャルコスト 費用目安

パネル

発電目安は資源エネルギー庁のパネル費用平均値調査によると、低圧の場合11.4万円/1kWにつき、40kW(低圧)の場合は「11.4万円×40kW = 456万円」 が目安になります。

参照:資源エネルギー庁『太陽光発電について

但し、パネル費用はメーカーによっても異なるため、取り扱うパネルが特定できる場合は、その費用を参考にしたシミュレーション作成を推奨します。

パワーコンディショナー

主な役割は、パネルが発電した直流電力を、電力会社や一般施設で利用できる交流電力に変換することです。

パワーコンディショナーの設置費用は、2021年において3.3万円/1kW と資源エネルギー庁調査で公開されています。

パワーコンディショナー 設置費用推移
参照:資源エネルギー庁『太陽光発電について

但し、パワーコンディショナーは10年程度で劣化すると言われているため、10年以上、発電事業を継続する場合、取替え費用も含め2倍で見積もると良いでしょう。

発電開始後10年間で急激に性能が劣化するといわれており、定期的な補修、修繕が望まれる。

引用:環境省『太陽光発電の導入見込量と関連情報について

周辺設備

主に以下の周辺設備です。

  • 架台
  • フェンス
  • 接続箱
  • 電力量計
  • 受変電設備
  • 分電盤

費用としては、前述のパワーコンディショナーの参照データ「2021年:資本費内訳(10kW以上)」より「架台(3.6万円/1kW)+その他の機器(1.7万円/1kW)=5.3万円/1kW」が目安になります。

但し、発電所の規模(低圧か高圧か)によって、必要な周辺設備は異なります。

土地代

敷地面積や立地等の諸条件で金額が変動するのはもちろん、契約体系によっても金額やキャッシュフローが異なります。

賃貸の場合、FIT期間中は持ち主に賃料を支払う必要がありますが、月払いや年払いの契約であれば初期費用を抑えることができます。(FIT期間終了後の事業継続または撤去については、持ち主と相談)

購入の場合、FIT期間終了後も自分の保有資産になりますが、賃貸と比較して初期費用が高くなる傾向があります。加えて、固定資産税が発生するため、収支シミュレーション内容は賃貸と異なります。

※固定資産税の詳細は後述

施工費・造成費

前述のパワーコンディショナーの参照より「工事費(7.8万円/1kW)+設計費(0.2万円/1kW)+土地造成費(1.3万円/1kW)=9.3万円/1kW」が目安になります。

但し、設備の劣化状況や、立地条件によって金額は変動します。

ランニングコスト


主に以下の項目が挙げられます。

ランニングコスト 費用相場

メンテナンス費 

設備の定期点検や、パネル清掃や雑草対策等のメンテナンスは、2017年4月1日施行された改正FIT法により、義務化されています。

基本的にはメンテナンス業者(O&M業者)に委託する形で、委託費用は資源エネルギー庁の調査によると低圧の場合、「0.6万円/kW/年」が平均値につき、

  • 30kW ⇒ 18万円/年
  • 40kW ⇒ 24万円/年
  • 50kW ⇒ 30万円/年

上記が目安となります。

メンテナンスの必要性や、詳細項目については、こちらの記事をご参照ください。

保険費

災害リスクが懸念視される太陽光投資においては、保険加入を推奨します。保険の種類は様々ですが、一般的に火災保険もしくは動産総合保険に加入する投資家が多いです。

火災保険における費用相場は、資源エネルギー庁の公開データによると、「144円/kW/月」のため、年間では「1,728円/kW/年」が目安となります。

太陽光投資 月当たりの保険料
参照:資源エネルギー庁『平成29年度新エネルギー等の導入促進のための基礎調査(太陽光発電に係る保守点検の普及動向等に関する調査)

保険の種類や適用範囲についての詳細はこちらの記事をご参照ください。

固定資産税

土地と設備が固定資産税の対象です。

土地にかかる固定資産税は、「課税標準額×税率」で決まり、課税標準額と税率は各自治体により定められます。例として、課税標準額が2,000万円、税率が1.4%(東京)の場合の固定資産税額は「2,000万円×1.4%=28万円」と計算できます。

参照:東京都主税局『固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

一方、設備の固定資産税は減価償却になるため、評価額は一定ではなく「課税標準額=取得価額×(1-減価率)」で決まります。減価率は国税庁にて、0.147(初年度は 1/2 の0.0735)と定められているため、課税標準額が2,000万円、税率が1.4%(東京)の場合、

初年度の固定資産税は、「2,000万円×(1-0.0735)×1.4%=25.9万円」

2年目以降の固定資産税は、前年の課税評価額を取得価格として、「1,974万円×(1-0.147)×1.4%=23.6万円」となります。

※参照:国税庁『減価償却資産の償却率表
※上記の減価率は平成19年4月1日以後の数値を基準とする。
※定率法における保証率、改定償却率は考慮しないものとする。
※課税評価額が150万円を下回ると、その翌年以降の固定資産税は免除。

太陽光投資にかかる税金や、節税対策についてはこちらの記事をご参照ください。

減価償却費

時間経過とともに価値が落ちる固定資産(減価償却資産)を経費として、定められた法定耐用年数で分割計上することができます。

太陽光発電の法定耐用年数は17年で、償却方法は以下2つの方法があります。

①定額法:毎年同じ償却金額を計上する
②定率法:一定割合で償却金額が減っていく

減価償却の具体的な計算方法についてはこちらの記事をご参照ください。

廃棄積立費

再エネ特措法の改正に伴い、2022年7月より『廃棄等費用積立ガイドライン』に沿った積立が義務化されています。

積立期間はFIT制度適用終了の10年前から開始され、積立金額はFIT認定年度別に定められています。

太陽光 廃棄等費用 積立金
参照:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について

例えば、FIT認定年2015年の低圧(30kW)における積立費用は以下で算出できます。

1.25円(積立基準額)×30,000kWh(年間発電量)×10年(積立期間) =375,000円(積立費用)

※1kWシステムの年間発電量を1,000kWhと仮定

積立制度の導入背景や詳細については、こちらの記事をご参照ください。

ローン支払利息

FIT制度の適用もあり、比較的安定性の高い太陽光投資においては、融資やローンを受けて始める投資家が多いです。

利息は借入金額や、提携会社により様々ですが、1〜5%であることが多いです。 

融資を受けられる機関や、利息、申請ポイント等については、こちらの記事をご参照ください。

シミュレーション作成の注意点


基本的な収入と支出項目について解説をしてきましたが、その他考慮すべき要素についても解説します。

1.日照時間や日射量


前述の発電量では、太陽光発電協会(JPEA)が提示している年間発電量の目安「1kWあたり1,000kWh」を用いましたが、厳密にはエリアごとの「日射量」と「損失係数」の指標を考慮する必要があります。

特定エリアの日射量はNEDOの日射量データベース(MONSOLA-11)を用いて調査が可能です。このツールを活用した具体的な発電量のシミュレーションについては、こちらの記事をご参照ください。

2.パネルの経年劣化


太陽電池メーカー各社の太陽電池モジュール出力保証範囲からは0.5〜1%/年の劣化率が見込まれる。

引用:経済産業省『太陽光発電の導入見込量と関連情報について

上記のように、パネルの発電量は0.5〜1%/年程度で漸減するため、売電収入シミュレーションも0.5〜1%/年程度の減少率を考慮するのが妥当です。

3.機器の故障や出力制限


シミュレーションへの考慮は困難ですが、機器の故障トラブルや、出力制限は太陽光投資における代表的なリスクとして挙げられます。

  • 定期メンテナンスを実施する
  • 故障を早期発見できる体制にする
  • 火災保険や地震保険に加入する
  • 出力制限保険に加入する

等の対策を施し、リスク回避することが重要です。太陽光投資のリスクや失敗例については、こちらの記事をご参照ください。

安心できる太陽光投資なら「SOLACLE」へ


太陽光パネル

投資家自身も最低限のリテラシーを身につけ、収支シミュレーションの妥当性を判断しなければなりません。しかし、本業で多忙な投資家やサラリーマンの方にとっては、限られた時間の中で全項目を吟味するのは困難です。

SOLACLEでは、コンシェルジュが一人ひとりに最適なご提案をいたします。会員登録後、資料請求を頂ければ案件毎のシミュレーションをお送りします。

取り扱う中古物件は、丸紅が保有する優良物件のみで、丸紅との直接契約で進行するため、太陽光投資をご検討の方は、ぜひお気軽にSOLACLEへご相談ください。

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